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小説工房"Novel-LABO"

 現在、小説作品はカクヨムに掲載しています。
 ここに掲載している作品は、サイトに投稿していないもののみです。


■課題付き作品

緑が丘 [テキストデータ]
 掲載:2009.8.10 約3000字(掌編)

「緑が丘」は、「グリーングリーン」(片岡輝・作詞 B.Mcguite Rspark・作曲 小森昭宏・編曲)をモチーフに掌編を書くという課題に沿って書かれた習作です。
 なるべく余計な設定など加えず、原曲の雰囲気を再現しようとする形で作っています。

「グリーングリーン」の歌詞というと、多くの人が着目するのは、「なぜ突然パパがいなくなったか」でしょう。でも、こういった物語上の謎を中心に作品を組み立てると、どうしてもつまらない作品になってしまいます。離婚、家出、病死、事故死、徴兵、懲役、出稼ぎと、いろいろ考えられますが、どれにしてもありきたりのネタで、工夫のしようがありません。
 それよりも重要なのは、パパと子供が語らう話なのに、なぜ「グリーングリーン」というタイトルなのか、という点です。歌詞を見ても、前半はパパと子供の語らいシーンなのですが、サビに来ると風景描写ばかりになります。つまり、パパとの語らいとこれら風景描写には何かの関連がなければなりません。それをどう解釈し、表現するかが、この課題のポイントと言えます。

 いろいろ凝り出すと結構な枚数を使った作品が書けてしまいそうですが、今回はあえて直球勝負、オーソドックスな仕上げにしてみました。
 歌詞を見ると、パパは途中でいなくなり、やがて月日が流れて子供が大きくなった後の事まで描かれていますが、一方、風景描写はずっとはえたりもえたりあざやかだったりし続けています。つまり、人生の有限性と自然の無限性の対立構造になっているのではないかと考え、後はそれ以上ひねらず、そのまま仕上げています。

 技術的な見所は、多層構造になっている回想シーンでしょう。特に終盤のモンタージュを使ったシーンは、この作品の最もスリリングな箇所です。ベタな手ではありますがね(笑)



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