数字・記号 A〜D E〜H I〜L M〜P Q〜T U〜Z あ〜た な〜わ VA その他(自主制作盤など)
元Sieges EvenのWolfgang Zenkが中心となって活動している、ドイツのインストテクニカルフュージョンプログレバンド。
ジャズ、ロック、カントリー、ラテン音楽など、様々な音楽をつぎはぎして作り上げる構成が特徴で、そういった無茶をしている割には聴きやすく、むしろ上品なサウンドであったりする。
1stアルバム"CONTACT"では、ゆったりとした上品なフュージョンサウンドを中心に据えて猫を被っていたが、2ndアルバムからは化けの皮が剥がれ出し、変態テクニカルバンドらしさが強調されるようになってきた。
彼らのアルバムは取り扱っている店が少ないが、2012年現在絶盤はしていないようで、時間はかかるが取り寄せれば入手可能。disk
unionやHMVなどで取り扱っている。
[2014.9.2 初稿]
4thアルバム。キーボーディストが脱退して、リーダーのWolfgang
Zenk(G)がキーボードも担当しているが、影響はあまりない。
前作に比べると、いろいろな音楽ジャンルを横断して詰め込みまくった感じは少なくなっており、メロディラインがはっきりしていて覚えやすくなっている。このバンドにしては素直な曲調に聞こえるため、前作のやりすぎ感漂う無茶苦茶さが好きだった人には若干物足りないかもしれない。しかし、それだけ洗練されて聴きやすくなったともいえる。また、今までより渋い展開が少なく、比較的元気でポップな曲調が続くので、そういう点でも聴きやすい。
どこまで無茶をすれば気が済むんだというやり過ぎ加減の曲を涼しげに弾きこなすのが7for4の特徴だったわけで、それがややおとなしくなった点をどう考えるかだが、曲の出来は安定して高品質。メロディラインがはっきりして、繋ぎが自然だから無茶してないように聞こえるだけで、実際は充分複雑な曲ばかりである。
変態臭さが薄れたことで評価は分かれるかもしれないが、基本的には今までのリスナーが失望するようなデキではないだろう。なんだかんだ言って、より聴きやすくて楽しみやすくなっているのではないかと思う。"Tokamak"ほど衝撃的な曲はないにしろ、捨て曲もなく充実したアルバムである。
[2012.4.8 初稿]
3rdアルバム。
もともと様々なジャンルの音楽を次々と横断していくのが特徴であるこのバンドだが、このアルバムではその混ざり具合に磨きがかかり、収録曲全てが前作の"7:44
am"並み、むしろそれ以上にフリーダムな展開になっている。
とにかくどの曲もイントロの印象のまま曲が展開することがなく、しっとりと始まったからバラード系なのかと思ったら、いつの間にかスピードチューンのメタルとして終わっていたりする。
アルバムタイトルでもあるTr1"Diffusion"が既にしてロック、トランス、テクノ、ラテン、ジャズ、フュージョン、メタルと様々なジャンルの音楽を自由に行き来する曲となっており、聴いていると自分がどんな曲を聴いているのかわからなくなってくる。このアルバムは全編通してこんな感じ。
2ndアルバムからさらに変態テクニカルプログレらしい方向へ進化しているが、その割には聴きやすくもなっている。
また、全体にスローテンポなパートが少なくなっており、1stアルバムの頃の上品な雰囲気はやや薄れたものの、より広く受け容れられやすい曲になったとも言える。
[2012.4.8 初稿]
2ndアルバム。本作も基本的にインストアルバムとなっているが、1曲だけヴォーカル入りのTr3"Where
Are You Now"が収録されている。
前作はバカテクではあるものの、やや上品に振る舞っていた感のあるアルバムだったが、本作では若干プログレらしい……というよりはむしろ変態テクニカルバンドっぽい雰囲気が増しており、なんとなく彼らの本性が見えたような気がする。
フュージョンサウンドの影響が色濃いのは変わらないが、直球でフュージョンなのはTr10"Flux
Capacitor"くらいで、全体的にどちらかというとプログレ寄りの楽曲になった。
特にTr4"7:44 am"の無茶ぶりは相当なもので、8分近くの尺の中で、何度聴いてもちっとも覚えられないくらい混沌とした展開の曲になっている。
その他、サンバリズムを取り入れたTr2"Temperamento"、2パートに分かれているいかにもプログレらしいアルバムタイトル曲"Time"、カントリーサウンドを取り入れたTr11"Burnt
Chicken Wings"など、相変わらずいろいろな試みをしている。
本作は特に、プログレや変態好きへの訴求力が高くなっている。テクニカルなフュージョンが好きな人なら間違いなくツボ。
ただし、あまりにぶっ飛びすぎてメロディアスな面がややオミットされたところもあるので、前作の"Tokamak"や"E-Gyptian"のように、キャッチーさとテクニックのバランスの取れた曲を期待するとやや期待はずれになる可能性もある。
[2012.4.8 初稿]
ドイツのインストフュージョンプログレバンド、7for4の1stアルバム。Tr9"Catking"のみヴォーカル曲だが、他は全てインスト。
基本的にはインストの上品なフュージョンサウンドなのだが、イージーリスニング風になったりプログレメタル風になったりKiko
Loureiroのソロ名義のようなラテンメタルになったりと、様々な引き出しを披露しながらめまぐるしく変わっていく構成が特徴。
この手のサウンドはギタリストのソロ名義の曲でよく聴かれるものだが、このバンドはギター、ベース、ドラム、キーボード共に、誰が突出して目立っているわけでもなく、全員がそれぞれに見せ場を持ち、アンサンブルを構成している。
曲調についても同じことが言えて、フュージョン、ジャズ、メタル、プログレ、ラテン音楽といった要素がひとつだけ突出して曲を構成してることがなくて、いかにもメタルらしいディストーションギターソロをやったかと思えば、一転してクリーンギターとシンセワークによるゆったりとしたフュージョンへと変化する。
そのようにかなり無茶な展開をしているはずなのに、Mats
& MorganやEvil Wingsのようにアクロバティックなことをやっているようには見せず、あくまで自然に聴かせているのが面白いところ。本来なら変態テクニカルバンドと呼んでも差し支えないくらいのことをしているのに、妙に優等生な演奏に聞こえる。もちろん、だからつまらないというわけではない。
インストのロック寄りフュージョンやプログレが好きな人なら手に入れて損はないはず。特にKiko
Loureiroのソロワークが好きな人ならTr4"La
Provence"やTr5"E-Gyptian"などはツボのはず。
数字・記号 A〜D E〜H I〜L M〜P Q〜T U〜Z あ〜た な〜わ VA その他(自主制作盤など)