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CDれびゅ Various Artist

数字・記号 A〜D E〜H I〜L M〜P Q〜T U〜Z あ〜た な〜わ VA その他(自主制作盤など)


GUITAR HEROS/ギターインスト企画盤

 2008年発表  型番 EICP-997(国内盤・2008年)

[2008.5.28 初稿]
1.12 DONKEYS(Niko Laurenne)
2.SIOUX CITY SARSAPARILLA(Alexi Laiho)
3.FAT BATMAN(Mr. Crab)
4.SOAP ON THE ROPE(Roope Latvala)
5.ULTERIOR MOTIVE(Emppu Vuorinen)
6.HELLBILLY(Euge Valovirta)
7.SAUNA BLAST(Esa Holopainen)
8.ANTZ(Zachary Hietala)
9.THE MYSTIC CASTLE OF DR. SHRED(Mikko Salovaara)
10.IMOLAN MUSTA VIKONLOPPU(Tuomio Louhio)
11.IF GOD WILL SEND HER ANGELS(Timo Tolkki)

 フィンランドのメタルギタリスト11名がそれぞれに曲を書き下ろし演奏したインストアルバム。どの曲も個性派揃いで、似たような曲がひとつもない辺りが、フィンランドのメタルシーンの懐の深さを感じさせる一枚である。

 Tr1"12 DONKEYS"は、本作のプロデューサーであり、THUNDERSTONEのギタリストであるNiko Laurenne。THUNDERSTONEはストラトヴァリウスをパワフルにした感じの曲をやるバンドで、本曲もその系統の曲だが、ギターインストだからか、本家よりもパワフルで適度に曲調にもメリハリがあり、良い感じがする(笑)
 聴き所は何と言っても、中盤から始まる参加ギタリスト+ギターコンペ優勝者Matias Kupiainenの12人が一人ずつソロを披露するギターバトル。

 Tr2"SIOUX CITY SARSAPARILLA"はCHILDREN OF BODOMのAlexi Laihoによる曲。ドラムがTommi Lillmanなのと、デスヴォイスがない影響か、なんとなくCOBというよりはSINERGYのような感じ。
 ぱっと聴いただけでそれとわかる、メロディアスで切れ味抜群のフレーズ。言ってしまえば「いつもの曲」だが、ヴォーカルもキーボードもなく、純粋にギターインストで聴ける機会は滅多にないだろう。

 Tr3"FAT BATMAN"はBLEAKのMr. Crabによる曲。私はBLEAKの曲は聴いたことがない。
 本曲はOPETHにやや近い感じの、激しくも叙情性溢れるプログレメタル風テイストとなっている。テクニカルだが技術先行ではなく、音楽性も素晴らしいフレーズの数々を披露してくれる。
 BLEAKはラウドロックだそうなので、このプレイは普段やっているものとは似ても似つかないのではないだろうか。このタイプの曲でソロアルバムでも出してくれたら、私は絶対買う(笑)

 Tr4"SOAP ON THE ROPE"はSINERGY、CHILDREN OF BODOMでアレキシと共にギターを弾いているRoope Latvala。バンドでもアレキシを向こうに張って全くひけを取らないプレイを披露しているが、本曲はその技巧の数々を存分に見せつけるかのように、速弾きの弾き倒しから焦らすようなスローフレーズまで、てんこ盛りの内容になっている。ただ巧いだけでなく、ギタープレーヤーとしての懐の深さを感じさせる一曲。

 Tr5"ULTERIOR MOTIVE"はNIGHTWISHのEmppu Vuorinenによる曲。アコースティック・ギターによるオリエンタルな感じの漂う曲となっている。ごまかしの効かないアコギを選択し、際立った技巧を見せつけない楽曲重視のプレイに徹しているあたりが、逆にギタリストとしての自信を感じさせる。
 最近のNIGHTWISHは聴いていないのだが、このレベルで楽曲を仕上げているのなら、久々に聴いてみたいような気がした。特に複雑でも何でもない曲なのだが、よくできている。

 Tr6"HELLBILLY"は、カントリーメタルという珍しいスタイルのバンド、GODSPLAGUEのEuge Valovirtaによるナンバー。曲もそのまんま、エレギタによる高速カントリーメタルインストとなっている。

 Tr7"SAUNA BLAST"はAMORPHISのEsa Holopainenによる曲。アラビア音階風のオリエンタルな曲調による叙情性重視のナンバー。独特のメランコリックな雰囲気が激しいメタルリフと絡まって絶妙の雰囲気を醸し出している。普段ならこれにデス声が乗るわけだが、インストになった途端、日本のゲーム音楽で登場しそうなプログレ風の曲に聞こえるから面白い。

 Tr8"ANTZ"はTAROTのZachary Hietalaによる曲。なんとも懐かしいテイストのネオ・クラシカルインストで、曲調もまさしくコレ系インストメタルの王道を行くもの。一曲くらいはこういう曲があると安心である(笑)

 Tr9"THE MYSTIC CASTLE OF DR. SHRED"はKIUASのMikko Salovaaraによる曲。KIUASは最近登場したバンドのようで、私は未聴。
 出だしはベタベタなネオ・クラシカルの入ったメロパワ系なのだが、ラスト近くで突然ジャズテイストが混ざる。
 もう少しジャズテイストとメロパワとのせめぎ合いをうまくやってくれれば、面白い曲になりそうな感じ。このままだとなんで突然ジャズテイストになるのかよくわからん(笑)

 Tr10"IMOLAN MUSTA VIKONLOPPU"は元IMPALED NAZARENEのTuomio Louhioによる曲。ハードコア系の鈍重なナンバーなのだが、ギターだけそれを無視するかのように速弾きしまくるというスタンドプレイが面白い一曲。

 Tr11"IF GOD WILL SEND HER ANGELS"はフィンランド勢の先駆者、STRATOVARIUSのTimo Tolkkiによる曲。
 トリを務めるからか、スローテンポでいかにもエンディングな一曲となっており、ギタープレイの大半もメロディをなぞるだけのずいぶんおとなしい曲……と思いきや、ラストでワウを効かせてめちゃ弾きを披露している(笑)

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NOIR オリジナルサウンドトラック I/アニメサントラ

 2001年発表  型番 VICL-60737(国内盤・2001年)

Tr1「コッペリアの棺」/ALI PROJECT
Tr2〜Tr17/梶浦由記
Tr18「きれいな感情」/新居昭乃


[2005.9.25 改稿]
 アニメ"NOIR"に使用された主題歌、BGMを収録したサウンドトラック。
 BGMに梶浦由記。主題歌にALI PROJECT、新居昭乃と、かなり強烈なメンツ。
 NOIRと言えばオープニング曲のALI PROJECTの「コッペリアの棺」が有名であるが、本当に暴走しているのは梶浦氏の手がけるBGM。
 一部の曲があまりに強烈な個性を放ちすぎており、アニメ本編では時に映像を押しのけて独壇場を演じていた問題作でもある(効果音や声に対して、BGMの音量が大きすぎたのも要因の一つではあるが)。
 そんなわけで、アニメとの食い合わせ、という点ではいかがなものかと思わせるところはあったものの、その分、こうして音楽単体で鑑賞するには充分に堪えるものになっている。

 Tr2"les soldats"は、インダストリアルなシンセドラムをバックにコーラス隊とヴァイオリンの乗る、のっけからすでにBGMとしては音に厚みのありすぎるナンバー。機械的なリズムに生きた音を乗せることで、なんとも言えない気味の悪さを生み出している。

 Tr4"canta per me"は、pizz奏法弦楽器バッキングに女声ヴォーカルが乗るアコースティック歌モノBGM。サウンドトラック的な要素もありながら、かなりメロディが自己主張している曲。かえってBGMという制約を受けることで、濃密にまとめられているように思える。

 Tr17"salva nos"は、NOIRのBGM中最も暴走した作品。テクノをベースとしたリズムによるグルーヴ感と女声ヴォーカルの和声によって吸い込まれそうな気分になるのを、最後にディストーションギターのノイズ的なアドリブソロによってブチ切る。この嫌らしい終わり方がまたたまらない一曲である。アニメ本編でこのディストーションソロがきっちり使われていたのは衝撃的だった(笑)


 Tr1「コッペリアの棺」は、ALI PROJECTの存在を広く世に知らしめたであろう主題歌。シンセドラムによる機械的なリズムにヒステリックなヴァイオリン、偏執な文学的歌詞の妖しい旋律のヴォーカルを乗せた楽曲は、傾向の差はあるものの、梶浦氏の楽曲と共通する点が多い。

 Tr18「きれいな感情」は変態的な楽曲群に埋もれて、やや存在が薄れてしまっているものの、エンディングテーマとしては佳作。これがないと暴走したままどこかへ飛んでいってしまう(笑) 落ち着いたリズムに、かすれた声でわかり易いメロディを乗せた楽曲は、まさしくこのサントラにおけるチル・アウトといった趣。
 ただ、さすがこのサントラを締めくくる曲だけあり、メロディラインはどこか不安げで、クールダウンした後どこへ流されていくのかわからない、後味の悪い感触をわずかに残す。

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R4 DIRECT AUDIO/ゲームサントラ(テクノ)

 1999年発表  型番 ZMCX-103

Tr2〜6.12.14.19.22〜25/大久保博
Tr1.713.17.18/高橋弘太
Tr4.8.11.14.20.21/境亜寿香
Tr9.15/中西哲一
Tr10.16/中川浩二
(NAMCO R4 SOUND TEAM)

[2006.9.19 改稿]
 リッジレーサーシリーズ最高峰のBGM、それがおそらく"R4"のそれだろう。
 全曲テクノが主体。フュージョン系からトランス、インダストリアル、ドラムンベースと、バラエティに富んだ一枚。
 激しい曲は少ないものの、どれも量産型テクノとは異なり、一曲一曲がBGMでありながらも、しっかりと特徴を与えられて作られている。というのも、ゲームの展開に合わせて徐々に盛り上がるように曲順が決められており、はっきりと意志のある作りになっているからである。
 どの曲にも特徴なのが、ピアノやサックス、ギターといった生音を小道具として使い、シンセ音飽和状態にある曲にアクセントを与えているところが心憎い。テクノとジャズをミックスしたような、機械的であり、かつ自由奔放でもある面白い楽曲群。

 中でも秀逸なデキなのは、ゲーム中はグランプリのラストシーンを飾るBGM、Tr19"Movin'in Circles"。クールなテクノサウンドの中、メインテーマの女性ヴォーカルがリフレインされ、最高に盛り上がる曲となっている。

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The Keepers Of Jerico(A Tribute To Helloween)/トリビュート盤(ジャーマンメタル)

 2000年発表  型番 VICP-61153(国内盤・2000年)

1.Guardians(Rhapsody)
2.I Want Out(Sonata Arctica)
3.A Little Time(Heavens Gate)
4.Ride The Sky(Metalium)
5.I'm Alive(Luca Turilli)
6.Judas(Morifade)
7.Eagle Fly Free(Vision Divine)
8.Savage(Brainstorm)
9.Future World(Labyrinth)
10.Save Us(Cydonia)
11.Victim Of Fate(Squealer)
12.Halloween(Dark Moor)
13.How Many Tears(Secret Sphere)


 Helloweenのトリビュートアルバム。カヴァーしているバンドの顔ぶれがあまりにも豪華で、トリビュートアルバムにしては結構有名なアルバムである。Rhapsody、Labyrinth繋がりのバンドがやたら多いのが特徴(笑)
 どのバンドもあまりオリジナルを崩していないが、それでもそれぞれの特徴がよく出た曲に仕上げている。全体に質も高く、安心して聞ける。

 Tr1"Guardians"は、もともと収録アルバムWalls Of Jericoの音質がイマイチだったため、私にとっては大した印象のない曲のひとつ。しかし、音質が向上し、ラプソディお得意のシンフォニック仕上げにより豪華になったこれを聴いて「こんないい曲だったの?」と驚いた。
 ラプソディのオリジナルでは絶対聴くことのできない、ストレートで格好いい曲を聴けるのは貴重かもしれない。

 Tr2"I Want Out"は、ソナタ・アークティカのミニ・アルバムに収録されていたものと同じ音源。少し前倒しになったメロディラインや、キーボードをふんだんに使った編曲、コーラスの使い方、なによりエンディングの潔い終わり方などはまさしくソナタらしい味付け。Helloweenのオリジナルとはまた違った良さがある。
 ソナタ・アークティカは編曲や演奏技術は素晴らしくても、作曲がいまいち下手なバンドという印象が私の中にあったのだが、それを確信づける一曲になったのがこの曲だった。なんでこのクオリティをオリジナル曲で維持できないんだと(笑) 4thアルバムでいきなりとてつもない作曲技術を見せつけてくれるようになり、一安心した。

 Tr3"A Little Time"をカヴァーするHeavens Gateは、ある意味Helloweenとはライバル関係にある同期のジャーマンメタルバンド。トリビュートに参加する顔ぶれとしては意外なバンドである。選曲が守護神伝PartIからというのも、敬意を表しているのか対抗意識なのかよくわからないところ(笑)
 さすがに荒削りだった時の音源であるオリジナルに比べると、こちらは演奏もしまっており、聴き応えのある曲になっているが、これをしてHeavens Gateの方が優れているというのはちょっと不公平というもんだろう。

 Tr4"Ride The Sky"をカヴァーするのは、私は名前は知っているが聞いたことはないバンド、Metalium。例によってWalls Of Jericoからの曲なので、単に音質が向上しているだけでいい曲に聞こえてしまう(笑) オリジナルとほとんど同じ演奏だが、ゴリゴリとカッティングするパワフルな音になっているのが、おそらくこのバンドの特色なのだろう。

 Tr5"I'm Alive"は、ルカ・トゥリッリがカヴァー。例によってシンフォニックアレンジだが、それ以上にヴォーカルが安定していて、オリジナルより聞きやすい感じ。オーラフ・ヘイヤーは確かにパワフルな歌声ではないが、ハイトーンも無理なく歌いきって、このアレンジにはぴったり。

 Tr6"Judas"をカヴァーしているMorifadeは、まったく知らないバンド。"Judas"は国内盤のWalls Of Jericoのボーナストラックとして収録。キーボードなどを使っているが、その割にはオリジナルに近い雰囲気を出しているように思う。演奏もうまい。

 Tr7"Eagle Fly Free"はラプソディのファビオとラビリンスのオーラフ・トーセンが在籍するスーパーバンド、Vision Divineがカヴァー。この面子から予想される音とはまったく異なり、かなりオリジナルに忠実な演奏で、変なところでびっくりの一曲。今回のトリビュートでは一番忠実な演奏かもしれない。

 Tr8"Savage"は、守護神伝完全版のボーナストラックとして収録されていた曲。ライナーノーツによると、もともと"Dr.Stein"のシングルB面の曲らしい。カヴァーしているBrainstormは知らないバンドだが、聞いた感じパワーメタル系のバンドっぽい。ここまでの他の曲の音質がいい中、いきなり音質がこもっているので、それだけでずいぶんマイナスの印象受けてしまう。ちょっと残念。

 Tr9"Futuer World"をカヴァーするのはLabyrinth。Rhapsodyと双璧を成すと言われるバンドだが、私はあんまりいいと思わない。キーが下がっていて哀愁感が増した演奏は私好みではあるのだが、やはりオリジナルに比べるとかすんでしまう。ドラムの音がちょっと軽すぎで、音質もちょっとこもっているところもマイナス評価に。

 Tr10"Save Us"はCydoniaのカヴァー。Cydoniaの曲は聞いたことがないが、ラビリンス繋がりのバンドなのは有名な話。こちらも少し音質がこもり気味。ジャーマンメタルは広がりがあって、かつタイトな音質の方が映えるように思うのだが……

 Tr11"Victim Of Fate"のカヴァーはSquealer。古参バンドだが、実は曲は聞いたことがない。"Victim Of Fate"はHelloweenのデビューアルバムから。オリジナルよりも漢くさいアレンジになっているが、この辺はアレンジというよりはつい出てしまう持ち味のような気がする。途中で"Futuer World"のイントロのギターフレーズをリフとして入れるなどの芸を見せる。音質は悪めだが、潔い漢メタルぶりになんとなく許せる(笑)

 Tr12"Halloween"をカヴァーするのは、この頃はまだエリサ嬢がヴォーカルとして在籍していたDark Moor。ダークムーアの曲は私にとっては薄味で、もう少し印象的なメロディを配してくれたらいいバンドになるのにと思っていた。
 一方、オリジナルの"Halloween"も、長いだけでイマイチな曲という印象だったのだが、この、私の中でイマイチな曲とバンドが合体したら、なにやらめちゃくちゃいい曲に変貌してしまった(笑) シンフォニックなアレンジになっているものの、ほとんど原曲に近いこの曲が、なぜか女性ヴォーカルと妙にマッチする。演奏もかなり引き締まっており、素晴らしい緊張感が漂う。もともとDark Moorのオリジナル曲なんじゃないかと思えるほどの違和感のなさ。このクオリティで曲を作ってくれたら、Dark Moorは私の中で十指に入るバンドになっていたのに。惜しい。

 トリを務めるのはイタリアの新人バンド、Secret Sphere。カヴァーするのはWalls Of Jericoのラストナンバー"How Many Tears"。"Halloween"からこの曲に持っていって終わるという配置は、なかなかにわかっている感じ。
 Secret Sphereというとスローテンポの時に実力を発揮するバンドで、やはり今回のカヴァーでも、高速パートはヴォーカルも演奏も弱っちい。音質もちょっとリバーブが効き過ぎ。3:20あたりから始まるスローテンポパートになると途端に元気になるあたりが彼ららしいと言える。

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ZWEI!! Super Arrange Version/ゲームサントラ(民族音楽)

 2002年発表  型番 NW10102540

Tr1〜12/Falcom Sound Team jdk

[2005.9.25 改稿]
 民族音楽調のサウンドが特徴的だった"ZWEI!!"のBGMから12曲がセレクトされ、jdkが生楽器でアレンジしたアルバム。
 オリジナルのBGMも生演奏っぽさをだしたものだったが、やはりシンセサウンドと本物の楽器では雰囲気が全然変わるものである。

 日本ファルコムのBGMは総じて評判がいいのだが、ゲームをやったことのない人が単体で聴いて鑑賞に堪えられるもの……となると、やはり限定されてくる。アレンジアルバムも然り。そんな厳しい基準をパスできる一枚がこれ。原曲そのものが民族音楽という、元々ループしていても気にならない特性の音楽であることも要因の一つではあるが、どの曲もBGM特有のループが見える単調な編曲にはなっておらず、充分に楽曲として楽しめる。

 中でも面白いのはTr6"ケノーピ火山"とTr8"幻の大地セルペンティナ"。
 Tr6の方はジャズアレンジになっていて、メインメロディの後ろで様々な楽器が激しく自己主張して対立している。
 Tr8はどこぞの酒場でのフラメンコライヴ風から、バックにストリングス隊の入るオーケストラアレンジへと移行。もともとzweiのBGMの中でも最も泣きのメロディの入った曲なのだが、うまく崩して面白く仕上げている。

 オリジナルの曲自体、最近のファルコムサウンドの中でも特に力が入っていただけあって、アレンジ版の本作もかなり気合いの入ったものとなっている。

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白熱のジャズ・ドラム・バトル(バディ・リッチVSアート・ブレイキー)/ジャズ

 型番 200CD-J-51(国内盤・2004年) ダイソー ザ・CD200 モノラル

(Buddy Rich)
 1.Baby,Baby All The Time
 2.Route 66
 3.Ready To Go Steady
 4.It's About Time
 5.What Is This Thing Called Love
 6.Jusy You,Just Me
(Art Blakey and the JAZZ MESSENGERS)
 7.Moanin'
 8.My Ideal
 9.Free For All
 10.Angel Eyes
 11.Jodi
 12.Gypsy


 ジャズシーンにおける天才ドラマー、バディ・リッチとアート・ブレイキーのドラム対決が聴けるCD……ではなく、単に彼らの曲が6曲ずつ収録され、聞き比べできるという企画もの。紛らわしいCDタイトルではある。
 この企画はしかし、バディ・リッチにとって大幅に不利なものになっている。なぜならバディ・リッチの曲はすべてスタジオ音源なのに、アート・ブレイキーの方はすべてライヴ音源なのである。ジャズは生に近い方がおいしいに決まっている。

 私はジャズは生に限ると思っていた。いくつかCDで聴いたことがあるが、どれも演奏が死んでいる感じがして好きになれなかったからである。
 そんなわけでアート・ブレイキーも、カヴァーしているのを生演奏で聴き、気に入ってCDを買い、がっかりした思い出のあるアーティストだったりする。
 しかし、このCDに収録されているライヴ音源は、ちゃんと演奏が生きているように思う。実際に生で聴く時の緊張感や興奮が伝わってくる感じがある。
 もちろん録音なので何度聴いても同じ演奏なわけだが、それでもジャズ特有の、どうやって曲を展開して、どうやって終わらせるのか、観客もプレイヤーも全然わからないままに展開しているという、即興演奏ならではの空気のようなものが伝わってきて、何度聞いても全然飽きない。
 なによりスタジオ音源に比べてどの曲も演奏が引き締まっていて、それでいてソロが長くて格好良すぎる。はっきり言って別物である。

 特にすさまじいのが"Free For All"の、一瞬でも気を抜けばバラバラに乱れてしまいそうな変則リズムの応酬。この緊張感はプログレにも似ているが、予定されていたレールがあるわけではないジャズの場合、失敗すると取り返しが付かない感がビリビリ伝わってくる。そのくせ高速で楽しそうに弾きまくっているのだから危なっかしくてしょうがない。スタジオ録音盤で聴いたときは、なんともしまりのない曲だと思っていたのだが、それとは比較のしようのないくらいの空気の張りつめ方や演奏の鮮やかさはもはや別の曲。正直ここまでいい曲だと思わなかった。

 ジャズに関しては、それほど多くのCDを聴き比べたわけではなく、もしかしたらこの演奏自体、他のライヴ音源と比べれば大したことのないものなのかもしれない。
 しかしとにかく私は、この音源はめちゃくちゃいいと思った。ジャズのCDで、初めて心の底から素晴らしいと思えた一枚である。

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