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葉山宏治/テクノロック(ゲーム音楽)

『超兄貴』の怪しげなBGMにより一躍有名となった葉山宏治。
 ロックとテクノの両方のアプローチから音楽の作れる方で、特に声ネタの使い方が巧み。ネタそのもののインパクトも含め、つい口ずさんでしまう中毒性を秘めている。
 なお、葉山宏治のアルバムはゲーム音楽でないものもゲーム音楽扱いされ、どの作品も入手困難になっている。通販を利用するのがおすすめ。

筋属バット一号
 1996年発表  型番 TYCY-5491(国内盤・1996年)

[2005.10.11 改稿]
 葉山宏治の2ndアルバム。「筋属バット一号」という謎のマスクマンを題材にした曲を中心に12曲収録。

「超兄貴」からの路線を引き継ぎつつも、よりサンプリングサウンドにストーリー性を加えた作りになっている。「まじめに生きろ」と若者に片っ端から注意するらしい筋属バット一号が何者なのかはわからずじまいだが、プロレスの入場曲のような(そもそも入場曲にロックが使われることは多い)Tr2「筋属バット一号」やTr3「筋属バット一号 入場のテーマ」は、馬鹿馬鹿しくも真摯で格好いい。

 この二曲があまりにもインパクトが強すぎるため、他の曲が捨て曲にすら聞こえてしまうのだが、これらも聴いてみると結構キャッチーでノリのいい、テクノとロックの中間のような作品に仕上がっていて悪くない。

 後に発売された『'99超兄貴伝説』にこのアルバムの主要曲はすべてライヴ/アレンジバージョンで収録されているので、そちらを買えば事足りるような気もするのだが、オリジナルバージョンもこれはこれで違った良さがあるので、入手できるならば聴いてみるのも悪くない。

超葉山〜兄貴番外地
 1994年発表  型番 NACL-1140(国内盤・1994年)

[2005.9.25 改稿]
 葉山宏治の1stアルバム。ゲーム「超兄貴」とは全く関係なく、完全に書き下ろしの新作。「まじめに生きろ」という、ストレートで真摯なメッセージをひたすら訴える漢の楽曲たち。しかし単に説教くさいのではなく、そこにふんだんに遊びの要素が含まれている。ふざけていながらもまじめというバランスがせめぎ合っている。

 中でもTr2「食前の合掌」は「超兄貴」と同じ手法で、テクノ系のグルーヴサウンドに魂の叫びを乗せたもの。いかにも不真面目くさい若者のタルい声と葉山の兄貴の愚直に繰り返される叫びが見事にマッチ。これこそ兄貴の誰にも真似の出来ないセンスが凝縮された一曲といえる。

 Tr3「兄貴、日本の若者を叱る」とTr5"TAKARAZUKA"はミュージカル風。もしかするとミュージカルの血統を引く現代音楽というのは珍しいかもしれない。Tr3はタイトルそのままの内容(笑) "TAKARAZUKA"は宝塚の舞台に男が出演するという無茶苦茶なもの。完全に遊びの曲だが、誰にも真似のできないハイセンスな仕上がり。


 雑多なジャンルの交錯するゲーム出身の音楽の中でも際だってオリジナリティあふれる楽曲群でありながら、どれも実験的ではなく、すでに完成された高いレベルで仕上がっている。これは単なる色物ではない。

超兄貴〜兄貴のすべて
 1993年  型番 NACL-1088(国内盤・1993年)

[2005.10.11 改稿]
 PCエンジンゲーム『超兄貴』で実際に使われたBGMに、書き下ろし6曲を含めたサントラ。
 ロックをベースにしたサウンドで、サンプリングサウンドを巧みに多用しているのが特徴。バックサウンド自体ももちろん格好いいのだが、その上に乗っかる野太い兄貴のサンプリングサウンドはインパクト強烈。「ドイツ×4 ジャーマン」と繰り返し叫んでいるだけなど、その多くは意味不明なのだが、一発聴くと脳裏に焼き付き、気が付くと口ずさんでいたりする洗脳ぶり。

 書き下ろしの曲は、非常にインパクトのある声ネタの巧みさもさることながら、Tr"ANIKI01"やTr2「アドンとサムソン」などのバックサウンドはテクノ風味のジャズロックで、ギター・サックス・ピアノのバッキングが実はかなり格好いい。

 高品質のロックサウンドに強烈な声ネタという漢くさいサウンドの掛け合わせは絶妙。真剣にふざけたこのサウンドを未聴の方は是非とも聴いてみて欲しい。

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福井健一郎/テクノ(ゲーム音楽)

アインハンダー オリジナル・サウンドトラック
 1997年発表  型番 SSCX 10015(国内盤・1997年)

[2005.9.25 改稿]
 スクウェアのプレイステーションゲームソフト「アインハンダー」のサウンドトラック。ゲーム中に使用されている楽曲をそのまま収録している。ジャンルとしてはテクノに分類される。

「アインハンダー」は音楽の使い方が巧みで、各ステージのメインテーマ〜中ボス(第二テーマ)〜ボスBGMと、ゲームの進行と共に極力自然に楽曲を移行させる工夫がなされていた。
 楽曲そのものも単調な繰り返しBGMではなく、単体でも充分聴くに堪えるだけの、起伏に富んだものになっている。
 そのため、こうして音楽単体で聞いても飽きることなく聴くことができる。コンセプトアルバムのように、すべての楽曲がすべて意味づけられて配置されており、通して聴くことでひとつのドラマを堪能することができるわけである。特に、Tr13〜Tr15あたりの、ストリングスを多用した広がりのあるパートから、だんだんと緊張感を増してタイトなリズムのパートへの移行は見事。これほど美しい構成のサウンドトラックはなかなかあるものではない。私がこのアルバムを「最強のサウンドトラック」と賞賛するのはそういった理由である。

 単に「アインハンダー」ファンが聴いて懐かしんだりするようなファンアイテムにとどまらず、純粋にアルバムとして楽しむことができる、数少ない一枚。

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光田康典

THE BRINK OF TIME(クロノ・トリガー アレンジバージョン)
 作曲:光田康典 編曲:GUIDO(大槻KALTA & 畑浩史)
 1995年発表 型番 PSCN-5024(国内盤・1995年)

『クロノ・トリガー』で使用された曲から10曲をセレクトし、アレンジしたアルバム。ジャケ絵からして、もはやゲーム音楽のCDとは思えないものとなっているが、中身もゲーム中で聴けるオリジナルバージョンとはアレンジの方向性が全く異なっている。もはや原曲とは別物と考えた方がいい。メロディラインに面影はあるものの、単なるゲーム音楽のアレンジサウンドだと思うと「なんじゃこりゃ」と思うだろう。
 逆に言えば、ゲームをやったことのない人で、フュージョンあたりが好きなら買って損はないはず。

 曲の方は、ジャズを基調としつつも、曲ごとに少しずつアプローチの仕方を変えているのが特徴。簡単に紹介すると、Tr1"Crono Trigger"は、間にトランペットソロを挟んだ、ルパン三世のような渋いサウンド。
 Tr3"Zeai Palace"は、いかにもジャズっぽいベースソロから始まりながら、怪しいシンセサウンドにディストーションギターやピアノを効果音っぽく乗せていく変わり種。
 Tr4"Warlock Battle"は、出だしだけロックサウンドに思わせておいて、突如としてジャズ調に変化し、後半はサックスがアドリヴで駆け回る怪しい曲と化している。
 Tr7"World Revolution"は、このアルバム唯一のスピードチューンで、かつ唯一ゲーム音楽に近いアプローチの曲。メロディがサックスによって奏でられている以外は全てシンセを使用しており、スクウェアの戦闘曲らしいアレンジになっている。
 Tr8"The Brink Of Time"は、完全にジャスサウンドのアレンジ。
 Tr9"Guardia Millenial Fair"は民族音楽の要素を盛り込んだアレンジとなっている。

 普通一般にゲームで聴かれる音楽とは毛色が異なり、これを聴いて素直にいいと思えるには、多少リスナーにも経験が必要かもしれない。しかし、聞き込むほどに良くなってくるアルバムでもあるので、是非とも手元に置いて欲しい。

 ちなみに、昔レンタルして聴いただけのアルバムだったのだが、この度ようやく見つけて買うことができた。聴いた当初はTr4が好きで、今でも好きなのだが、全曲それぞれにいいと思えたのは、ここ数年いろいろ音楽を聴きまくった今だからこそだとも思う。

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米光亮

 素晴らしいアレンジをやってのける編曲家。日本では編曲家は脚光を浴びない傾向があるので、あまり名前は知られていないが、PCエンジンファンにはファルコム音楽の超絶アレンジ曲の数々で伝説と化しているであろう人物である。

 おすすめは、PCエンジンソフトの『イースI・II』、『III』、『IV』。もともとクオリティの高いファルコムサウンドだが、PCエンジンで米光氏がアレンジしたバージョンは特に素晴らしい。CD-ROMにCD-DAとしてBGMがまるまる入っているので、ゲーム機を所有していなくても聴ける(ただし、データトラックを再生すると耳や音響機器にダメージを与えるので注意。PCエンジンの場合、2トラック目と最後のトラックにデータが入っている場合が多い)。
 なお、パーフェクトコレクションは、IV以外のものはいまいち。聴くならやはりPCエンジンソフトの方をおすすめしたい。

パーフェクトコレクション イースIV〜The Dawn Of Ys(Vol.1〜3)
 作曲 Falcom Sound Team J.D.K/編曲 米光 亮
 1994年発表  型番 KMCA1139 KMCA1140 KMCA1144(国内盤・1994年)

 BGMのクオリティーには定評のあるイースシリーズでも出色のデキなのが、このPCエンジン版イースIVのBGMである。ファルコム・サウンドチームの原曲の良さもさることながら、米光亮氏による編曲が鳥肌モノのすばらしさ。
 このパーフェクトコレクションでは、ゲーム中に使われた曲がリファインして収録されている。PCエンジン版BGMでは、ほとんどの曲がCD-DAで再生されており、管楽器や弦楽器はすべて生音が使われていたのだが、このアルバムでもその美しいサウンドをばっちり体験できる。

 音のクオリティもさることながら、どの曲もBGMとは思えぬほどメリハリのついた楽曲であり、ヘヴィメタあり、ラウンジありの、様々なジャンルからおいしいところを持ってきて作られている。贅沢なアルバムである。
 また、メタルファンはちょっとニヤリとする、イングヴェイの某有名曲っぽい(というかそのまんまな)曲もVol2に収録されている。
 最近のゲームでもここまでレベルの高いBGMは使われていないので、手に入るならば是非とも入手し、聴いてみて欲しい。

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