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あさき/変態ロック

天庭
 2013年発表 型番 GFCA221-2(国内盤・2013年)

[2013.2.5 初稿]
 2ndアルバム。本作はコンセプトアルバムに近い作りになっており、もはやゲーム音楽から発展したものとは思えないほど、アルバムとして完成度の高い内容になっている。
 そもそも収録曲の半分は新曲で、半分の既存曲のうちTr4「愛のかたち 幸せのかたち」とTr9「行き過ぎて後に」は、もともとアルバム用に作られた楽曲をゲームサイズにカットして先行発表しただけ。そして既存曲でもTr5「つばめ」やTr10「ほしふりの果て 極東史記より」は原型を留めないほど作り直されている。つまり、このアルバムの楽曲はほとんどオリジナルのゲームで使用された曲とは関係なく、好き勝手に作っていると言える。

 曲の構成自体も複雑だが、編曲がまたものすごく複雑で、一体どれだけ音を重ねているのかと思うほど。もともとゲームの楽曲は一般的な音楽と比べると複雑な編曲を施すものだが、ここまでやっていることはまずない。

 前作『神曲』は、それはそれで高品質なアルバムだったが、『天庭』を聴いてしまうとそれが霞んでしまうほど本作の完成度は高い。これほどのアルバムは才能とセンスがあって、かつ、バンドメンバーにも、ファンにも、会社にも、商業的なことにも配慮せずに、自分のやりたいことをやり抜ける不良社員でなければ作れないだろう(笑) 普通のアーティストだと才能があっても、ここまで好き勝手に作れる環境が整わないはずである。

 正直、このアルバムの本来の購入層で、これだけ偏執的に作りこまれた、ぶっ飛んだアルバムの内容について行けるリスナーがどれだけいるのかわからないが、ゲーム音楽を聴く人だけが聴くには惜し過ぎるので、暗くて長大なプログレなどが好きな人は是非手にとって欲しい。

 なお、初回限定盤には、10分超の曲である「天庭」のビデオクリップが収録されている。これがまた、ゲームで使われたクリップとは全く異なり、かつ、あさき本人の演奏シーンなどは一切無い内容で、既存のファンの期待など放り捨ててやりたい放題やっている。ゲームファンやあさきファンはがっかりするかもしれないが、ビデオクリップが大好きな人には垂涎の内容なので、可能であれば初回盤の入手をおすすめする。

神曲
 2005年発表  型番 LC-1404(国内盤・2005年)[コナミスタイルのみで販売]

[2005.9.17 初稿]
 コナミの音楽ゲーム、もしくはそれに関連したサントラ等に収録された楽曲をリ・アレンジした6曲に新曲4曲を加えたアルバム。最大の弱点であったドラムがシンセという点が解消され、生ドラム、生ヴァイオリンが使用されている。

 暗く湿ったメロディライン、ストリングス、ピアノといったクリーンサウンドの巧みな折り込み、変態的な歌詞といった点はALI PROJECTと近い特徴を持っているが、ALI PROJECTが必ずしもロックをベースにしているわけではないのに対し、こちらは紛れもなくロック。それもプログレ系の変態的なリズム、展開を多分に含むロックである。

 メロディには泣きのキメフレーズをうまく使ってキャッチーな感じに仕上げているものの、複雑な展開、変態リズム、9分超の大作、暗い曲調(笑)などの特徴は間違いなくプログレの血統を引くもので、なおかつバンドという形態に制約されない利点から、とんでもなく偏執的な楽曲に仕上がっている。こういう音楽はバンドからは生まれないだろう。
 特にTr9「新曲」は変態度マックス(笑) 呪われそうな歌詞の乗ったメロディラインはめちゃくちゃ格好いいのだが、途中からHOYRY−KONEばりの変態音楽へと変貌。

 そもそもからしてゲーム音楽の規格外の楽曲をリリースし続けていたが、さらにその制限を解除されてかなり本気で作り込んでいることが感じられる。Tr1「蛹」など、ほとんどかつてサントラに収録されたものと編曲は同じなのだが、普通に聴いた分には聞き逃してしまいそうな部分で効果音やヴァイオリンなどを挿入、煮詰め直していたりする凝りよう。
 単なるファンアイテムではなく、ひとつの音楽アーティストのアルバムとして完成された作品である。

 なお、本作はコナミ通販専売品で、一般流通はしていない。

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朝倉紀行/(ゲーム音楽)

クライムクラッカーズ2 オリジナルサウンドトラック
 1998年発表  型番 AYCM-596(国内盤・1998年)

[2005.9.25 改稿]
 SCEの3DアクションRPG「クライムクラッカーズ2」のサウンドトラック。
 エレキギター、キーボード、サックス、ホルン、ヴァイオリン、ベース、ドラムなどはすべて生演奏。楽器の構成を見ればわかるように、クラシック、ジャズ、ロックなど、様々な音楽を横断した無節操な楽曲となっている。
 なお、ループを考慮した編曲は一切なし。ゲーム中では曲が終わったら再び頭から再生される、という形を取っていた。

 曲によってロック寄りだったりジャズ寄りだったりと様々な味付けになっているが、全てに共通しているのは、音と音の間に開いた隙間のような静寂が、どことなく冷たい緊張感を走らせる感じがあること。
 ひとつひとつのパートの音が非常に鮮明であることと、ツインギターやストリングスコーラスなどの、音の隙間を埋めるような白玉(長音)コーラスが少ないせいか、どの曲もどことなく冷たい感じがする。それは悪い方向に作用しているのではなく、常に緊張感を漂わせ楽曲を引き締めている。
 この緊張感こそが、単なるゲームの添え物でしかないBGMを、ひとつの聴かせる楽曲として昇華させているように思う。単に生音だというだけでは、ここまでゲーム本編を押しのけて自己主張する音楽にはならないだろう。こういう感じは朝倉氏独特のものと言える。

 知らないで聞けばゲームのBGMとは思えないほど、独特の個性と音楽性を放つ楽曲群である。

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安藤まさひろ/フュージョン

 日本屈指のフュージョンバンド、T-SQUAREのギタリスト。T-SQUAREの方ではあんまりギタープレイが聴けないのだが、『グランーリスモ』ではギターが中心となって格好いい楽曲を提供している。
 グランツーリスモシリーズは4作目に突入したが、楽曲という点では1が一番である。ちなみに音楽とは関係ないが、難易度も1が一番面白い。

グランツーリスモ オリジナル・ゲームサウンドトラック
 1998年発表  型番 SRCL4269(国内盤・1998年)

[2007.9.21 改稿]
 レースゲームのBGMに、安藤まさひろを起用するという本物っぷりが話題になった、「グランツーリスモ」のサントラ。
 オープニング曲の"Moon Over The Castle"、コンフィグ画面の"Like The Wind"をはじめとして、本当にF1グランプリの放送で使われていそうな曲ばかり。"Moon Over The Castle"はむしろ本家"TRUTH"を越えたのではなかろうかと思えるほどのドラマチックな曲に仕上がっている。

 BGMというより、そのまんま安藤まさひろのソロアルバムのような本作。JOE SATRIANIなどのロックよりのフュージョンが好きな人なら、ゲームを知らなくても買うべきだろう。これは本物のクオリティである。

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泉陸奥彦/ハードロック

HEAVEN INSIDE
 2006年発表  型番 LC1500(国内盤・2006年)

[2008.12.14 初稿]
 元KENNEDY、現コナミ社員のギタリスト、泉陸奥彦の初ソロアルバム。収録曲の多くは『ギターフリークス』『ドラムマニア』初出のものを編曲したもので、Tr7"LET ME BELIEVE"とTr12"WISH"はギタドラのサントラに収録されたそのまま(つまりシンセドラム)。Tr1"HEAVEN INSIDE"とTr6"USED TO ROCK'N'ROLL"はドラムが本物になって全体に録り直されている。ちなみに"MODEL DD8"はこのCDでの発表が先。ゲストとして元Megadethのギタリスト、Martin Friedmanが2曲に参加している。

 70年代ハードロックからバラード、めちゃ弾きプログレまであらゆるジャンルの曲が収録されているが、全体通しての特徴はキーボード、ギター、ベース、ドラム共にやたらと手数が多いこと。女性ヴォーカルをフィーチャーした曲ではややおとなしめだが、それ以外の曲ではとにかくみんなパワフルに弾き倒し。

 70年代〜80年代テイスト(というかディープパープルというか)の、昔懐かしいフレーズが満載のギターインストが多めなので、その頃のハードロックが好きだった人などは結構感性が合うのではないかと思われる。現代的な音でありながらノリは完全にベタベタロックンロールな"USED TO ROCK'N'ROLL"などの変わり種もあり。

 個人的に不満なのは、Tr12"WISH"のギターの音が小さすぎること。ヴォーカルに遠慮しすぎたバランス(いわゆる歌モノPOPSな音バランス)になっているのだが、本当はヴォーカルに被るほど大音量でギターを鳴らしてくれれば、特にクリーンギターからディストーションギターに変わる瞬間などは劇的で格好良かったはずなのだが。
 あと、Tr7"LET ME BELIEVE"は是非とも本物ドラムにして欲しかった。他の収録曲が本物ドラムでガンガンやっているだけに、かなり迫力不足に感じてしまう。曲は好きなのに残念。


 楽器演奏主体のハードロックが好きな方におすすめ。特にインストものが好きな人にとっては超貴重な一枚である。
 なお、本作はコナミ通販専売で一般流通していない。

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岩崎琢/プログレ(アニメ・ゲーム音楽)

愛・超兄貴
 1995年発表  型番 TYCY 5437(国内盤・1995年)

[2005.10.11 初稿]
 PCエンジンソフト「愛・超兄貴」のサウンドトラック。実は私は「愛・超兄貴」をプレーしたことがないため、このアルバムに収録されている曲が使用されたBGMそのままなのかはわからない。しかし曲数が14曲と少なく、また、1曲3分〜6分の尺があり不自然な終わり方をしていないことから、おそらく原曲をアレンジしたアルバムなのではないか? と思う。
 確かなことは、すべての曲が一曲として完結しており、アーティストのアルバムとして通して聴くに充分堪える作品になっている、ということである。

 前作「超兄貴」のサウンドは葉山宏治が手がけ、怪しいサンプリングサウンドを使ったインパクトのある洗脳音楽であったが、本作はそれに比べるとおとなしめ。
 しかしそれはうわべだけの話。その実態はPINK FLOYD風味にオリエンタル宗教音楽をトッピングしたサイケデリックサウンド。聴いていると引き込まれそうになるヤバい音楽なのである。
 声ネタの使い方も、漢くさいというよりは宗教くさい。宗教的儀式で男たちが掛け声を繰り返しているかのようで、一発聴いたときのインパクトはないものの、その繰り返しがだんだんと中毒症状を起こしていく。

 特にTr7「チベット〜解脱〜」はまさしくシンセサウンドによるピンクフロイドといった風格。
 ピンクフロイド風味のサウンドは、このような手弾き演奏なしのサンプラー・シンセによる音楽とよくマッチし、生音でないことによるマイナスはそれほどない。

 あまりにも怪しいタイトル、怪しいジャケのため、どう考えてもプログレファンが手に取ったりするような代物ではないが、見た目の色物に比べて中身はかなり真面目な作品。ピンクフロイドが好きなら、聴いて損のないアルバム。

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桜庭統/プログレ

 元Deja Vuの中心人物にして、現在はゲームを中心に曲を提供し続けるキーボーディスト&作曲家。
 オケを使った壮大な曲なども作るのだが、私はどちらかというと、メロディアスで疾走感があり、かつEL&Pのように緊張感を漂わせた曲を三人バンドで演奏している方が好みである。

 ゲーム音楽のサントラも多数出しているが、まずはともかく、ソロ名義やDeja Vu時代のアルバム、もしくは『桜庭統ライブコンサート』のDVDなど、バンドマンとしての桜庭氏を聴いて欲しい。

Forest of glass
 2008年発表  型番 KDSD-00180(国内盤・2008年)

[2008.2.23 初稿]
 久々に「ゲーム音楽でない」桜庭氏のソロアルバム。全曲ピアノソロ。
 ピアノソロという形態に合わせて編曲しているものの、曲の感じはいつもの桜庭氏のそれ。クラシカルというよりはロック・キーボーディストらしく、一人でいかにして音の厚みを出すか、という方向に注力されている。編曲を変えれば、そのまま普段の曲になる感じのものばかり。
 パート数が少ない分、氏の曲作りの骨格部分が見えるので、作曲に多少なりとも興味があるなら、「普段はこの音をオルガンにするんだろうな」などと想像して聴くと面白かったりする。

 音数が少なくてもパワーダウンすることはなく、むしろキーボーディスト、作曲家としての氏の技量がそのまま提示され、緊迫感がある。
 特に桜庭氏は大人数よりも少人数バンド形式を好むアーティストなので、曲に使えるのがピアノ一台だけになったからといって、それほど不自由な感じにならない。むしろ音数が絞られた方が雑味が無くて、オーケストラ編成の曲よりも生き生きとしていたりする。

 桜庭氏の曲が好きなら、これを買って損ということはないだろう。あとはキーボード好きも要チェック。多彩な鍵盤楽器を使いこなすという楽しみはないが、一人で音圧を稼ぐキーボーディストの技巧を存分に堪能できる。

桜庭統ライブコンサート スターオーシャン&ヴァルキリープロファイル[DVD]
 2003年発表  型番 KDDV-00001(国内盤・2003年)

 桜庭氏唯一のインストライヴ映像。Deja Vuの頃を彷彿とさせる三人構成で、名前の通りスターオーシャンとヴァルキリープロファイルからセレクトされた曲を演奏している。
 同じスターオーシャンやヴァルキリープロファイルのアレンジでも、こちらは実際にすべて演奏しているわけで、特にオーケストラ色が強かったスターオーシャンの曲が、こうしてライヴ演奏として聴けるのは嬉しい限りである。

 曲の方はゲーム音楽とは思わない方がいいだろう。もはやプログレ以外の何者でもない。確かに聞き覚えのあるあの曲なのだが、ゲーム音楽としての桜庭氏の曲しか知らない人だと、結構違和感を覚えるんじゃなかろうかと思えるアレンジ具合。逆に言えば元曲を知らなくても全然OK。
 演奏と演奏の間にゲーム内のムービーが挿入され、ムービーに合わせてゲームと同じBGMを同じタイミングで桜庭氏が弾くといったニクイ演出などもあるのだが、肝心の曲の方がそのように激しくプログレっており、もはやゲーム関連のイベントとは思えない様相を呈している。むしろそういったゲームらしい展開の方が浮いていて、ゲームのファンが大半と思われる客はあっけに取られているといった感じ。いろんな意味で前衛的な映像となっている(笑)

 もちろん、ちゃんと各パートの手元、特に桜庭氏がリック・ウェイクマンばりにキーボードを侍らせて手弾きしている様子はちゃんと見られるので、その辺は安心していいだろう。

 ともかく、唯一のライヴ映像というだけでも買う価値のある一品だと言えるのではないだろうか。それプラス、桜庭氏あまりの暴走に、モノホンのプログレを知らない客がぽかんとしている様子を楽しめるのが、このDVDの魅力(笑)

戯曲音創
 1991年発表  型番 MCD-2920(国内盤・1991年)

 インストソロアルバム。Deja Vuの頃よりもめちゃ弾きしたり、時計の音などのギミックを使ったりせずに、純粋にキーボードの音での構成重視の音楽になっている感じ。

 基本的にはゲームに提供している音に近い感じで、しかしゲームのイメージに縛られない分、自由な発想でじっくりと作り上げられている。さっと聴くとトライエースのRPGに提供している曲とそう大差ないように聞こえるかもしれないが、ちゃんと聴けばその質の違いはわかるんじゃないかなと思う。
 三人バンド形式で、ゲーム音楽よりも音数が少ないにも関わらず、キーボードの多彩なプレイ一本でそれを補ってあまりある出来になっている。

 ドラムやベースは補佐の方に回っており、とにかくキーボード出ずっぱりの一枚。手に入るなら迷わず入手すべし。

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