数字・記号 A〜D E〜H I〜L M〜P Q〜T U〜Z あ〜た な〜わ VA その他(自主制作盤など)
(2004.8.25改稿)
1stアルバム。デスメタルという名から想像されるような疾走曲は少ないものの、その音楽的手法は紛れもなくデスメタル。なのになぜか途中でいきなりアコギインストを突っ込んだり、イントロがヴァイオリンソロだったり、Tr6"EVERLOST
part2"に至っては完全にツインアコギバッキングに女声ヴォーカルを乗せた曲だったりしてみせる、かなり変なアルバムである。
そもそもジャケ絵からして地球を背景にしたSFチックなもので、全然デスっぽくない。
デスにクリーンサウンドを混ぜるバンドは今では数多くいるが、それらと比較してもかなりクリーンサウンドの入れ方が唐突かつ割合が大きい。そもそもデスメタルにヴァイオリンやチェロを使ったバンドはさすがに珍しい。ある意味実験色の強いアルバムだとも言える。
今聴いても衝撃的な内容の一枚。これが実験的な試行錯誤を繰り返すインフレイムスの1stだというのは象徴的である。
ジャズっぽいエッセンスの入ったプログレ。全編通して手数の多いテクニカルな演奏目白押しで、プログレ好きが聴きたいものをストレートに提供している感じ。
フルートが使われていることもあってか、曲はケンソーのセカンドあたりや、PFMの音に近い。手数が多い分ごちゃごちゃしているように聞こえるのだが、実際はリフとリフとの間に切れ味のいい変拍子を混ぜた構成が基本となっていて、そのものは複雑怪奇な感じではない。
手数の多いのは好きだけど、EL&PやCYNIC、SPIRAL ARCHITECTみたいなのはちょっと……という人にはちょうどいいかも。
スティーヴ・ヴァイやカーク・ハメットの先生ということでも有名な、マルチなギタリスト。ギターインストでアルバムを出し続ける希有な存在であり、同時にインスト中心であるために意外と日本では知られていないアーティストでもある。
ギターの腕前がどれだけすごいのかは、正直なところギタリストではない私にはわからないが、浮遊感のある清々しくも凝った構成のインストを作ってくれる作曲技術は確かなものである。
ちなみに、スポーツ番組のBGMのような音楽を求めるなら、真っ先に勧められるのがサトリアーニ先生である(実際によく使われているため)。
ギタリストなら必聴モノ、ギタリストでなくても聴いて損はないアーティストだろう。きっと夜更かしの経験がある人は、聴いたことのある曲に出逢うはず(笑)
普通におすすめする場合は2ndアルバムの"SURFING
WITH THE ALIEN"。が、私はサトリアーニの中では異色作である"ENGINES
OF CREATION"が大好き。
11thアルバム。シンセドラムにギターが絡む、ありそうで意外と少ないタイプの曲。
いつものようにジャズテイストの効いたギターインストの曲なのだが、この曲調が不思議とテクノサウンドとマッチしている。
あまりにも違和感なくシンセとギターが融合しており、聞いていると今メロディを奏でているギターなのかシンセなのか、だんだんわからなくなってきてしまう。
耳に心地よいサウンドなのでBGMとしても邪魔にならないような曲なのだが、単に聞き流される感じでなく、一回聞くと意外と耳に残るほどの印象を与えるところがこのアルバムのすごいところだろう。実際、単調な繰り返しに見せかけて、結構いろいろと展開に関しては工夫されていたりする。BGMとしてはまさに理想形。
聞き込む場合は、シンセサウンドの中にあって違和感のないように工夫しているギターの使い方が面白い。いつも通りに歪んだ音でありながらギターの音が突出して聞こえないのは、おそらくミックスの段階で音のトゲを取り払っているからだろうと思われる。
ちなみに私はTr2"Flavor Crystal 7"がお気に入り。深夜のニュース速報番組みたいなもので聴いて気になっていた曲だったのだが、まさか偶然にもここで出逢えるとは思っていなかった(笑) テクノ系アーティストが作っているものとばかり思っていたので……単純な曲なのに、あれだけ人を惹き付けてやまないのはうらやましい限り(あんまり違和感なく聴けるので長いこと気付かなかったが、よく聞くとこの曲、7拍子リズムだったりする)。
あまりに洗練されすぎたサウンドのため、普段のサトリアーニの曲を想像すると肩すかしを食らうが、フュージョン系テクノを聞くつもりで買うと、おいしいアルバムである。
5thアルバム。
いつものようにクールなギターインストアルバムだが、このアルバムでは特にエモーショナルで清々しいギターメロディサウンドが特徴になっており、速弾きやインスト独特の複雑な曲の展開などの聞き所もあるが、基本的にはメロディ重視の曲と言っていいだろう。
Tr6"Summer Sing"ではアップテンポでノリのいいギターリフにワウギターが暴れ、Tr4"Cryin`"ではスローテンポでじっくりと熱いギターメロを聴かせてくれ、Tr7"Traes
In The Rain"〜Tr8"Why"では、哀愁漂うクリーンギターのリフを基盤としながら、徐々にメロディのギターの歪みと共に、ギタープレイそのものも激しくなり……と、曲ごとにメリハリが効いており、結構いろいろなタイプの音楽を聴かせてくれる。
2ndアルバム。サトリアーニの代表的なアルバムでもある。
結構速弾きまくりのギターインストアルバムなのだが、全体的になぜか上品な雰囲気が流れ、全然嫌みに聞こえない不思議な曲が目白押し。適度に熱く、同時にクール。独特のセンスの良さが光る。
どんな曲か想像できなければ、スポーツ番組に流れているフュージョンっぽいロックのBGMを思い浮かべると間違いない。なにしろサトリアーニの曲は実際によくスポーツ番組のBGMとして使われているからである。
T-スクエアの"TRUTH"などが好きなら、まずこの辺は聴いて損のないところ。
ただ、私としては収録曲のいくつかがフェードアウトで終わるのが、ちょっと頂けないところである。曲としては本当に不満のない出来だけに残念。
Yngwieの元右腕であり、STRATOVARIUS在籍のKey、Jens Johanssonと、ドラマー、Anders
Johanssonの兄弟によるソロワークス。
曲調は初期インギーに似た、クラシカルでテクニックを存分に見せ付けるタイプの曲となっているが、異なる点は、キーボード主体となっているため、ギター中心では出すことができない、深みや立体感を出している点である。
もちろんこのアルバムでも、キーボーディストとギタリストとの速弾き合戦は健在。このアルバムでは"SYMPHONY
X"というバンドのブレインでもある、マイケル・ロメオがお相手となっている。
初期のイングヴェイの良さを引き継ぎつつ、それを自分達の得意分野内でまとめたようなアルバムであり、初期イングヴェイ的クラシカルロックが好きな方はぜひおすすめである。
アメリカンプログレ。航海をテーマにしたアルバムで、楽曲は冒険物語を読むときの興奮と希望と不安の入り交じったような雰囲気に満ちている。
プログレとしてはややメロディーが直線的すぎるかもしれないが、しっかり変拍子を多用しており、ヴァイオリンの旋律は微妙な緊張感を醸し出している。その曲調は意外とうねりのある波となっている。熟練の船乗りでなければ船酔いを起こすかもしれない(笑)
あまり複雑怪奇に走っていないことから、プログレ初心者におすすめできるアルバムだと言える。ディープなプログレファンには、ちょっと物足りないかもしれないが、旅の空気を感じることができる点で楽しんでみるのもいいかもしれない。
叙情性溢れる広がりのある音が特徴的なプログレバンド。フュージョンロック寄りの音楽で、際だって技術を見せつけるような演奏はせず、アンサンブルを重視した曲作りが特徴。
幻想的なゆったりとした曲調の中にタイトな演奏を織り交ぜ、緩急のついた作りは絶品。日本にこれだけの音を作れるプログレバンドがあったのかと驚くこと間違いなしである。
感じとしてはアメリカのプログレバンドHAPPY
THE MANに近いが、ジャズっぽさはなく、ロック寄りのアプローチが強め。
とりあえず聴くなら"KENSO II"か『夢の丘』がおすすめ。
5thアルバム。
KENSOの最高傑作と言うことになっているが、実際ものすごい完成度を誇るアルバムである。
比較的ゆったりと聴かせるアルバムになっていて、フュージョンを基盤とした幻想的な音楽。緊張感の漂う演奏などはないが、複雑な音の絡まり方や、スケールの大きい音楽性はまさしくプログレ。
アルバムの構成が凝っていて、単に曲を寄せ集めただけに見えて、実際はコンセプトアルバムに近い作りになっている。
テクニカルな音の絡み合いをさらりとやってのけるTr1"月の位相I"、S.E.やシンセを巧みに使い、幻想的な雰囲気を作り出すTr4"イア"のふたつのタイプの曲を軸に、曲と曲が絡み合うような順番で並んでいる。これが通して聴くと、妙にツボにはまって気持ちいいのである。
個々の曲の出来も、アルバムとしての出来も申し分なし。入手できるなら確実に押さえて欲しい一枚である。
そのまんまだが、KENSOの2ndアルバム。
音としてはHAPPY THE MANに近い感じの、広がりのある幻想的なフュージョンサウンドを基盤にしつつ、変拍子とフルートの音色が演奏に緊張感を与えている。フルートと、日本的なフレーズの使用(日本音階ですかね? 私はその辺詳しくないが)によって、それが普通のロックバンドにはない独特の音を構築している。
プログレの名を冠するだけあって、演奏技術が高いことは言うまでもないのだが、このバンドの場合、テクニック云々よりも、曲としての完成度がとんでもなく高いことに驚かされる。構成は複雑でありながら、音楽としてはキャッチーで、一回聴いたら忘れられないほどの存在感を一曲一曲が持っている。日本のプログレとは思えない出来の良さである。
いつ買えなくなるかわからんアルバムなので、今年再販したことはまさに幸い。基本的に音楽を聴く人間なら日本の真の底力を知るために買うべきだと思うが、とりあえずYES、CAMEL、HAPPY
THE MANあたりのプログレファンは絶対速攻で購入すべし。
叙情性豊かな構成美と即興演奏の混沌という、両極端な二面性を持っているバンド。フリージャズの影響を色濃く受けており、時に前衛に走りすぎて、常人には理解不能の領域にまで達してしまうこともある。
フリージャズそのものが好きでないため、個人的にはあまり好きでないバンドだが、好き嫌いは別として、プログレを聴いていく上では避けて通れないバンドである。
おすすめ……というか重要作品は1stアルバム"IN
THE CORT OF THE CRIMSON KING(クリムゾン・キングの宮殿)"、5thアルバム"Larks'
Tongues In Aspic(太陽と戦慄)"、7thアルバム"RED"。この三枚は一応聴いておいて損はない。
[2007.3.19 改稿]
初期メンバーが一人もいない状態で新たに始動した5thアルバム。キング・クリムゾンの中でも特にフリージャズ的要素を強調したナンバーが揃っており、ロック、クラシック畑の人からは最も敬遠される音楽性を備えている。かくいう私も、ここまで来るとさすがに理解不能の領域に入る。
ちなみに邦題は、おそらくジャケ絵から想像されて名付けられたもので、原題は全く異なる……というより、意味を成した言葉になっていない。
サイケデリックな雰囲気を漂わせ、重く金属的なメタルサウンドが退廃感を演出。その上フレーズは即興演奏で脈絡がなく、唐突にトライアングルやホイッスルや笑い声といった効果音が入る。
その音楽性はシュールの一言に尽き、まともな音楽構成をしていない。しかし、当然ながら全く音楽の様相をしていないわけではなく、無茶苦茶であるのと同時に、それが音楽としてぎりぎりのバランスを保って提示されているわけである。それはさながら抽象画を鑑賞している気分で、聴いているうちにこの世界に引きずり込まれそうになる。ある種の麻薬のような陶酔感をもたらす、体に悪い音楽である。
はっきり言って、このアルバムが好きだという人は、自分が麻薬中毒者であると公言しているのと同じである(笑) そういうわけであまりおおっぴらには勧められないが、一聴の価値はあるアルバムである。
[2007.3.19 改稿]
1stアルバム。ロック、ジャズ、クラシックの要素を混ぜ合わせ、独特の世界観を提示した記念碑的作品。音楽としても、後の作品に比べるとポップ性を残しているため、結果的にキング・クリムゾンの作品の中では一番素直に聴きやすいアルバムとなっている。
Tr1"21st CENTURY SCHIZOID MAN"は、まさしくキング・クリムゾンの音楽性を端的に示した一曲となっている。ロック、ジャズ、クラシックの混血した実験的な曲だが、同時に既に完成されたものとなっている。ただし「完成」とはロック的に聴けば、という意味で、フリージャズ的に言えば、完成した音楽とは「死んでいるも同然」と言える。この二律背反が、キング・クリムゾンの音楽を混沌の中に落とし込んだ最たる理由だろう。
Tr1で見せた衝撃的な曲とは裏腹に、Tr2以降の曲は、どちらかというとジャズ的要素は陰を潜め、クラシカルな叙情性に満ちた音楽となっている。
久々に一曲目のイントロを聞いただけで鳥肌が立ったアルバム。ディストーションギターのリフにクリーンギターのリフが重なる瞬間はシビレまくり。このリフの重ね方は簡単そうでなかなかできないものである。
古くさい音の使用や、音をだらだらと延ばして重ねることで気怠い雰囲気を漂わせ、ダルダルな退廃感を漂わせつつも、リフとリフ、リフとメロディーを重ね、絡み合わせることで、独特の緊張感を生み出している。
曲はダルダルなくせに全編に渡ってビリビリくるようなリフや展開が目白押し。表面的な音や曲の構成は単なる昔のロックみたいな単純な感じなのだが、音の重ね方や入れ方は相当にセンスがいい。この辺のテクはある種PINK FLOYDやYESにも通じるものがある。
なにしろ最初から最後までダルダルな曲ばかりなので聴き手は選ぶかもしれないが、一度は試して欲しいアルバムである。
ANGRAのギタリスト、キコ・ルーレイロのソロ名義。
全編インストで構成されており、インスト好きにはたまらないアルバムとなっている。そのまんまANGRAのような曲からフュージョン、ラテンロック、ジャズまで、様々な音楽を楽しめる。
変に気難しい曲に走ってしまった近年のANGRAよりも、こちらの方がより従来のANGRAらしいサウンドを楽しめたりする。"NOVA
ERA"あたりが好きだった人は要チェック。聴きたかったサウンドが、きっとある。
2ndアルバムはジャズテイストの強いアルバムとなっているが、毛嫌いせずに聴いてみて欲しい。
4thアルバム。基本路線は前作と同様、ブラジリアンジャズや民族音楽調を交えたメタルインストとなっているが、本作はややメタル寄りの内容となっている。
特に本作はドラムスのVirgli Donatiがいい仕事をしていて、全体にリズムの面白味がより強調されたアルバムになっている。ソロワークスとは思えない完成度。
ほとんどヴォーカルトラックを抜いたANGRAみたいな内容だが、ANGRAよりも(私が)ANGRAに期待しているメロディやリズムやリフ、展開を有した曲が揃っていて、なぜこれがANGRAでできないのかとても不思議。
Tr3"Conflicted"のような複雑な展開の曲やTr4"Reflective"、Tr8"Mae
D'Agua"のような渋めの曲でも、メロディとリズムの面白さを忘れておらず、最近のANGRAのようにダルくなっていない。
過去のアルバムが好きならまず買って損のない、安定した出来。しつこいようだが、ソロワークスでこれだけ安定して高品質な曲が作れるのに、なぜANGRAの曲のデキがああなってしまうのかが本当に不思議でならない。
[2011.6.30 初稿]
Cuca Teixeira(ds)、 Thiago E. Santo(b)、Kiko
Loureiro(g)によるインストプロジェクト。このアルバムやバンド(?)の情報が少なくてよくわからないので、ひとまずKiko
Loureiroのソロワークのひとつとして分類しておく。
アルバムが入手できなかったため、AmazonにてMP3形式(320kbps
VBR)で購入。
曲調はジャズテイストが強いものの、演奏スタイルはジャズというよりはスリーピースロックバンド。各パートがいい感じに自己主張し合いながらアンサンブルを構築している。"universo
inverso"をよりロックにした感じ。こういうタイプの曲はありそうで少ないので、なかなか面白い。
ただし、落ち着いた渋めのパートもそれなりに多いので、そういう曲も聴けるリスナーでないと退屈に感じるかもしれない。
"universo inverso"が好きならまず楽しめるアルバム。通常価格で入手可能であれば、買って損はないはず。
ただし、現在このアルバムは入手困難なのだが、プレミア価格で買ったり、苦労してまで手に入れなければならないほどの名盤というわけでもない。
[2009.3.29 初稿]
ソロアルバム3rd。今回はフュージョンメタル的なテイストに戻っている。全曲インスト。
内容としては1stに近いが、様々なアプローチから曲を作っていた1stに比べると、今作はよりブラジルテイストが強くなっており、ある程度方向性が定まっているように感じる。プラス、ANGRAが活動休止中だからか、叙事性の強いTr5"SE
ENTREGA, CORISCO!"やクラシカル色の強いTr9"OUTRAGEOUS"など、そのままANGRAの曲として出てきそうなものもいくつか混ざってアクセントになっている。
単にギターテクを前面に出していた1stよりも、曲そのものを聴かせるタイプのアルバムになっている感じである。
1stが好きなら買って損はないだろう。期待を裏切らない盤石のデキである。あとはANGRA色の曲が久々に聴きたい人も。
[2009.3.29 初稿]
ソロアルバム2nd。副題に「キコ・ルーレイロのブラジリアン・ジャズ・グループ的観点の紹介」とあるように、今回はラテンジャズのアルバムとなっている。もちろん全曲インスト。
ソロアルバムということになっているが、各パートのバランスは良く、特にピアノが前面に出ており、ギター弾きっぱなしといった種類のアルバムではない。
ピアノが前面に出ているため表面上の印象はかなり変わっているが、もともとANGRA自体ブラジリアン・ジャズテイストをウリにしている面があったので、こうしてメタル色を取り払っても、あまり違和感がない。ジャンルががらりと変わった割には、Kikoのソロアルバムとして期待されているラインから、そう外れていないように感じる。
1stアルバムが気に入ったなら、ジャンルの違いはそれほど問題もなく楽しめるアルバムだろうと思う。あとはサンタナ等のラテンロックや、ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンあたりが好きなら聴く価値はあると思う。
[2005.4.7 微改稿]
ANGRA在籍のギタリスト、Kiko Loureiroのソロアルバム。インストで13曲という、インスト好き垂涎のアルバムとなっている。
典型的なメタルインストからフュージョン、民謡調のアコースティックサウンド、全編速弾き曲までバラエティに富んだものになっていて、楽しませてくれる内容になっている。
なにより必殺の民謡調のリズム+独特の微妙に哀愁を漂わせながらも明るいメロディラインを持つ曲が多いのがANGRAの"REBIRTH"に似ていて、同時期に発売した"Temple
Of Shadows"よりも私は好き。
ヴォーカルなしの分、同じ5分程度の曲でも内容が凝縮されており、それだけ聴く方にとっても面白いし、ANGRAでも聴かれる独特のメロディ回しがふんだんに聴ける。
Kikoファンでなくても、ANGRAが好きならこれは買わねば損。あとはインスト好きなら絶対押さえておきたいところ。こういうアルバムはそうそうあるもんじゃない。
John Petrucci(G)、Mike Portnoy(Ds.)、Jordan
Rudess(Key)、Tony Levin(B)によるジャムセッション企画バンド。Jordan
Rudessは現Dream Theaterだが、このバンド結成当初は加入していない。
自由に演奏する中から音楽の可能性を探ろうとした企画バンドで、プログレメタルというよりはフリージャズ形式のメタルといった方が実情としては近い。
途中でJohn Petrucciが抜けてLiquid Trio
EXPERIMENTとなり、その後Jordan RudessがDream
Theaterに加入し、メンバーがほとんどDream
Theaterと変わりなくなってしまったため解散となった。
[2011.3.7 初稿]
2ndアルバム。前作に比べるとやや曲の構成を気にした作りになっており、ややDream
Theaterの音楽に近くなっている。メタルとフュージョンの合いの子のような曲の方が多くて、Dream
Theaterに影響されてメタル色の強くなったHappy
The Manと言った方が近そうだが。
例外なのはTr1"Acid Rain"で、この曲だけはかなり素直にメタルをやっている。
Dream Theater色が強い曲とフュージョン色の強い曲が半々くらいなので、どちらも好きという人は少ないかもしれない。また、前作よりは構成が練られているとはいえ、Dream
Theaterのかっちりと組まれた上での猫の目展開の曲を期待すると辛いかもしれない。そもそもこのプロジェクトはセッション形式を前提にしているので、Dream
Theaterとは似て非なる方向性なのである。もっとも、セッションでここまでの曲ができること自体、驚異的ではある。
メタル好きなら"Acid Rain"のためだけに買っても惜しくないだろうし、メタルインストかフュージョンインストが好きなら、少なくとも収録曲の半分くらいは楽しめるだろう。両方好きなら言うことなし。
[2011.3.7 初稿]
1stアルバム。全編、即興性の高いインスト曲で構成されたアルバムとなっている。実際、ジャムった演奏を素材に作っているらしい。つまり、自由に演奏してたまたまできたものを収録しているわけである。それで売り物になるレベルのものが仕上がるのが、このメンバーの恐ろしいところ。
曲の構成は練られたものではない分、散漫に感じるところもあるが、その割にはちゃんと聴けるものに仕上がっており、録音状態も良くて、インストアルバムとしては面白いものになっている。
John PetrucciとMike Portnoyと、後にDream
Theaterに加入するJordan Rudessが参加しているが、曲はそれほどDream
Teaterっぽくはない。Dream Theater風味のフリージャズ形式メタルというのが実情に近いか。
メロディがしっかりしていないとダメな人や、かっちりと構成が決まっている曲でないとダメな人には向かない。また、Dream
Teaterの練り上げられた構成を期待すると、やはり期待はずれになるだろう。ジャズが好きだけどメタルも好きな、バカテクインスト好き向けのアルバムと言える。
ただ、私の手持ちのCDは、曲の終わりがブツ切れになっていたり、Tr9〜Tr13の組曲形式の曲の始まりと終わりがちゃんと繋がらないようになっている(明らかに別テイクな上に数小節前から始まっていたりするので、続けて聴くとブツ切れしたあげくに中途半端に巻き戻って聞こえたりする)。
私のCDだけの不具合かもしれないが、そういった点が気になる人は注意。私は編集ソフトを使って自力で調整した。
RhapsodyのLuca Tulilli(g)のソロ活動。ご想像通りのシンフォニックなナンバーを演っている。
現在、これほど壮大に大げさかつ大バカ(笑)な曲を作れるメタル野郎はルカしかいないだろう。期待は裏切りません。
ルカのソロアルバム第二弾。ファンタジックな物語を描く、オペラ調壮大シンフォニックなのは当然のことだが、今回はシンセを多用し、ピコピコと懐かしい電子音やシンセパッドまで、全編に渡ってシンセ音がオーケストラやギターに絡んでくる構成となっている。
Rhapsodyの音楽からして、メタルバンドとオーケストラをここまできれいに融合させた音楽はなかったのだが、今回はさらに無機質なシンセを絡めることに成功しているのだから、その手腕は恐るべきものである。
ヴォーカルに関しては、最初聴いたときは「ちょっと弱いかな?」と思ったが、聴いている内になじんできてしまった。たぶん、RhapsodyのFabio(vo)に唄わせたらベストだと思うのだが、それだとまんまRhapsodyになるわけで。
このノリが好きなら、すすめるまでもなく買うだろうからいちいちすすめないが、期待を裏切らない出来だし、従来のシンフォニックメタルとしても確実に進化している一枚だとはコメントしておこう。
スウェーデンのメロスピバンド。自分たちをWarriorと呼称し、恥ずかしい歌詞をハイトーンで堂々と歌い上げるファンタジーかぶれの変な連中。
。
見た目はアレだが楽曲の方は正統派で、HELLOWEEN系統のジャーマンメタル由来のメロスピとなっている。音質がイマイチなところまでジャーマンメタルらしさを再現(笑)
何気に結構巧かったのだが、アルバム2枚だけ出した後、あっさりと解散してしまった。
2ndアルバム。と同時に彼らの最後のアルバムとなる。
前作は比較的勢いを重視して、やるだけやってしまった感のあるパワフルなメロスピだったが、本作ではキーボーディストとサイドギタリストが加わったことで、やや構成を重視した楽曲となっている。
特にキーボーディストが加わった影響は大きく、本当に北欧メタルかよと思われた前作とは変わり、北欧らしい寒々しいシンセが入るように。また、ミドルテンポの曲が増えて、単純にメロスピとは言えないアルバムに。
音に厚みが出て、構成も練り込まれ、うまくなったのはうまくなったのだが、よくある北欧メタルバントのサウンドになってしまったことで没個性的になってしまった感もあって、ちょっと残念な気もする。キーボードサウンド大好きな私が言うのもなんだが、このバンドにキーボーディストは必要なかったのではないだろうか。北欧系では珍しいパワフルなヴォーカルやギターサウンドは未だに独自性があるのだが、せっかくのパワフルさをシンセの間延びした高音が殺してしまっている気がする。
Children Of Bodomのように、うまいことギターやヴォーカルを殺さないようなシンセワークができていれば、それはそれでまた独自性のある楽曲になったかもしれないのだが。
デキは悪くないので、北欧メタルが好きな人は。
1stアルバム。衝撃的なジャケ絵と共に現世に降臨したMetal
Warriorsのデビュー作。
歌詞が恥ずかしいことを除けばかなり正統派なメロスピで、曲だけ聴けばドイツのメタルなんじゃないかと勘違いするほど、北欧バンドっぽくない無駄に漢くさいサウンドとなっている。
メロスピに期待されるベタベタな曲ばかりだが、その割には陳腐にならない絶妙のバランスで、この手のメタルが好きな人なら必聴モノ。
それなりに佳作が揃っており安定した作りなのだが、とりわけTr3"Sworn
In The Metal Wind"とTr7"Denial
Of Fate"は出色のデキ。
"Sworn In The Metal Wind"は曲自体もよくできているが歌詞の恥ずかしさもアルバム随一で、このギャップがたまらない。"Denial
Of Fate"は、このバンドから一曲だけ選ぶなら、私はこれを挙げる。
メロスピを聴く人なら持っていて絶対に損はない名盤。若干音質が悪いが、その辺の雑さも含めて漢くさいメタルアルバムと言える。
数字・記号 A〜D E〜H I〜L M〜P Q〜T U〜Z あ〜た な〜わ VA その他(自主制作盤など)